大事な感情「怒り」
怒りの感情をもつのはとても自然なこと。豊富な感情があるのは、人間だからといえる反応です。そして、「怒り」は人にとって無くしてはならない感情でもあるのです。
人間はどの生き物よりも感情豊かな生き物です。「怒り」とは「喜び」「悲しみ」「楽しい」「恐れ」と同様に、人間が持つひとつの『感情』です。怒りの感情をもつのはとても自然なこと。豊富な感情があるのは、人間だからといえる反応です。そして、「怒り」は大事なものを守りたいと思う「あなた自身を表す」感情ともいえるのです。
とはいえ、。カッとしてしまうと感情を切替えできずに、不機嫌そうに黙り込んだり、周囲の人や物に八つ当たりしてしまう。相手にも自分にも攻撃性が止められない。怒りからくるストレスを悩ましく思ったり、自己嫌悪に陥ったりして「怒り」の感情はあまり心地が良いと感じられないものです。怒ってしまう自分を変えたい、怒りたくないと感じている人も少なくないのではないでしょうか。
怒りたくないと思っているのに
怒りたくないのに怒ってしまう。怒ってしまう自分は心が狭いのではないか。多くの人は「怒り」に対して、良いことではない、怒ってはいけないもの、とネガティブな印象を持っています。
「怒り」があることで自分が苦しくなったり、人と対立してしまったり、と自他ともに支障をきたすような不都合なこともあるので、多くの人がネガティブな抑えたい感情として感じていますし、ネガティブな感情は不快なので切り離したくなります。
怒りを感じるけれど溜め込んでストレスを感じている。瞬間的に発火する怒りを自分でコントロールするのは、すぐには難しいことです。
かといって、怒りを我慢することは自分の感情にフタをしてしまうことになり、そのうち自分の感情がマヒしていきますし、怒りを溜め込むことでますます怒りが強くなることも。
そもそも、なぜ”怒り”が湧き上がってしまうのでしょう。そんな怒りに影響されすぎずに、バランスを取りながら大事な感情の「怒り」を扱えるといいですよね。
「怒り」が沸き起こるのはなんで?
怒りは、大切なものを守るために備わっている感情です。
大切なものの安心や安全が脅かされそうになった時に取る方法は二通りと言われています。それは「戦うか逃げるか」です。怒りは「戦う」という姿勢です。
怒りが沸き起こる要因は大きく3つあります。
①自分の生命や大切にしている人、物が危険にさらされる
自分自身ももちろんですが、子供や家族、パートナー、信頼している人などが傷つけられるような行為や言葉を言われたり、批判されたりすると怒りが湧いてきます。大切なものを戦ってでも守ろうとするからです。大事にしているものは特にですが、日頃そこまで大事でもないかな、と思っているものでも壊されたり勝手に捨てられると腹が立つのも「自分にとって大切なもの」という認識があるからです。
②大切にしている価値観や立場が傷つけられる
自分が「普通はこうだよね」と思っている事と違うことをする人やルールを守らない人を見るとイラっとしたり、怒りが湧きます。「普通こうだよね」「これは常識だ」は各々が今まで生きてきた中で培ってきた自分の大切な価値観です。価値観とは生きていく中での判断基準です。判断を間違えることは生命の危機だと脳が感じるので、価値観が異なることは安全の範疇を超えるものと捉えるからです。その場合は、安全第一!その範疇を超えてはいけない!判断を間違えてはいけない!守らなくてはいけない!とアラームのように怒りが湧き上がります。また、価値観を否定されることは自分の存在も否定されたように感じて怒りが湧き上がるのです。
③自分の思い通りにならない
思い通りにしたいという自覚がなくても無意識下ではそうであってほしいという感情が隠れています。「こうしたほうが良いのに」「AよりBのほうが」とアドバイスやより良いほうを指し示してもその選択をしないことが自分を大事にされなかった、と怒りが湧きます。自覚のない意識の中でいつのまにか「相手に期待する」気持ちがあるとき、自分の期待通りにならない時も怒りが湧きおこります。
3つの要因に関わるような出来事に遭遇したり、その可能性があると感じた時に、怒りという感情を使って、危険から大切なものを守ろうとする目的のもと、怒りが沸き起こるというわけです。
「怒り」にはもとになる感情が隠れている
「怒り」は強い感情なので、楽しいや嬉しいの「快」の感情よりも強烈なエネルギーを持っています。他の感情と比べると、怒りは自分自身を一瞬で飲み込んで、冷静さや落ち着きを取り戻すことがすぐにできなくなるほど強いエネルギーを持っています。瞬発的に反応するので私たちは気付きにくいのですが、そのエネルギーを生み出す「本当の感情」が怒りの裏側に隠れています。
怒りに飲み込まれているときは、瞬発的に反応して思考が付いていけず、強いエネルギーに影響されて裏側に潜んでいる感情には気付けません。
怒りの裏側には、自分の中にある気持ち、感情があるのです。本来、わかってほしい『悲しい』『さみしい』『不安』『つらい』などが隠れています。
怒りは大切なものが脅かされるという不安からの反応だけではなく、隠れた感情をわかってもらいたい、共感してほしい、優しくされたい、「本当はこうであってほしい」とおもっているのです。
怒りを理解する
怒りは隠れている感情に気付くこと、理解すること、大事にしたいことを知ることで、次第に「怒り」に対するとらえ方や扱い方が変わります。理解が深まるにつれ、対処方法や切り替えが早くなり、自分で自分を責めたりすることも他人に対しての意識や行動も変わっていきます。
そのためにも自分の中の怒りが沸き起こる要因に気付き、理解していくことがキーとなるのです。とはいえ、その怒りのもとになっている隠れた感情を頭で理解しようとしても、無意識の思い込みや観念が邪魔して表面的な問題意識しか解決できません。
以下の記事で見つける方法をご紹介していますので参考にしてみてください
最後に
怒りが湧くほど、あなたが本当に大事にしているものはどんなことでしょう。
怒りを扱うことで、気持ちの切り替えができるようになったり、冷静にどうして欲しいのかを相手に伝えることができるようになり、円滑なコミュニケーションを取れるようになっていきます。
怒りをネガティブで持ってはいけない感情と決めつけず、排除しなくてはいけないものにせず、自分の大切な感情として自分を責めず、バランスを取りながら大事な感情の「怒り」を扱えるようになります。怒りのもとの「大切な感情」に気付くこと、見つけていくことで、あなたの怒りをより理解できるようになります。
まずは少しづつでも自分の大事にしているものを見つけていきましょう。
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